<金口木舌> 体重計の上で考える


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 数値を掲げた目標は努力奮闘の動機となる。それをノルマと言い換えた途端、気苦労の種にもなる。ビジネスであれスポーツであれ、数字との追いかけっこは世の常だ

 ▼県レベルで見ると、1972年に始まった沖縄振興開発計画は「フレーム」という数値目標を設けた。そのうち達成できたのは人口だけというのは笑えない話。反省と教訓を引き出さなければならない
 ▼日常生活の中ではダイエットにまつわる話題は尽きない。生活習慣病が気になれば、嫌でも体重計と向き合うことになる。本紙などが提唱する「イチキロヘラス」は沖縄の健康長寿を取り戻すための数値目標でもある
 ▼自分の恥をさらすようだが、社会人になって20年余の間に、15キロ前後の体重の増減を二度繰り返した。「ダイエット上手で、リバウンドも上手だ」と自嘲しているが、極端な体重変動が健康にいいとは思えない
 ▼教訓らしきことを言えば、体重を減らすには毎朝毎夕、体重計に乗ることだ。単純なことだが、おのずと生活習慣の改善に気を配るようになった。逆に体重計から遠ざかると着実に太った
 ▼9日に発足した県の健康長寿おきなわ復活推進本部は、2040年に男女とも平均寿命を全国1位にするという長期目標を据えた。達成には県民の意識改革が不可欠。さて、どうするか。体重計の上から27年後を見据え、道筋を探っている。