<金口木舌>細切れ返還は御免


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 保証人が「地域に貢献する団体です」と太鼓判を押すから長期契約でビルの1フロアを貸した。いざ入居すると、部屋を粗末に扱い、しかも騒々しく隣近所への迷惑は目を覆いたくなるほど

 ▼オーナーとして黙っていられず注意すると「一番奧の倉庫はうちも使わないのでそこだけ返す。その分は賃料も払わない」と逆恨みのような言い草。「信頼を裏切って開き直るのか…」。怒りが込み上げたところで、夢から目が覚めた
 ▼こんなことが現実にあれば、嫌がらせとしか思えない。ところが政治的には「負担軽減」と呼ぶらしい。日米両政府が合意したキャンプ・ハンセンの一部162ヘクタールの返還はそう見える
 ▼名護市幸喜、喜瀬、許田にまたがる傾斜地で、ハンセン全体(5140ヘクタール)の約3%。背後の演習地はそのままだ。跡利用のアイデアがあればぜひ教えてほしい
 ▼小野寺五典防衛相は「一日も早く負担軽減をという中、返還することが大事だ」と沖縄への“配慮”を強調した。お尋ねしたい。もし自身が土地所有者なら3%の細切れ返還を「負担軽減」ともろ手を挙げて喜べますか? 防衛相殿
 ▼キャンプ瑞慶覧や牧港補給地区など、数字合わせの細切れ返還に県民は常に異議を唱えてきた。看板に偽りのある「軽減策」は御免被る。地元が納得する軽減策とは? 自らを地権者の立場に置き換え想像力を働かせてほしい。