<金口木舌>100%の味方


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 〈いじめられ/行きたしいけぬ/春の雨〉。不登校の少年が、学校に行けない心情をしたためた1句。小さな背中が浮かび、切なくなった

 ▼11歳の俳人・小林凜君の『ランドセル俳人の五・七・五』(ブックマン社)が話題を呼んでいる。超低体重児で生まれた凜君は、ほかの子どもたちよりも小さな体格がいじめの標的になった。家の中でたくさんの俳句を詠むと心が安らいだ。不登校の間に詠んだ俳句は300を超えた
 ▼そんな凜君を温かく見守ったのが母と祖母。特に、いじめを見かねた祖母の郁子さんは、凜君の学級に赴いて教壇から子どもたちに仲良くしてほしい、と訴えたこともあった
 ▼凜君が1句詠むと始まる母と祖母のダンス。母と手を取りヨタヨタと踊る祖母のダンスは、リビングを揺らす。「いつまでもあなたの味方だよ」。凜君がこの先どんな困難を迎えても、祖母の笑顔とダンスは脳裏から離れないだろう
 ▼NHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」も主人公アキと海女の祖母“ナツばっぱ”とのエピソードが見どころだ。東京でいじめに遭い、自信がない主人公を厳しくも温かい愛情で包み込んだ。再び東京へ戻るアキを、大きな大漁旗を振って見送ったシーンが忘れられない
 ▼きょうは「敬老の日」。たくさんの愛情をくれた祖母と祖父に感謝を込めて伝えたい。ありがとう。