<金口木舌>古里へのエール


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 1月のオスプレイ配備反対東京集会の後、参加者から漏れたのは困惑とやりきれなさだった。「米軍基地の負担を我慢してきた沖縄に向かって売国奴、スパイと言うなんて」

 ▼沿道に参加者を口汚くののしる団体がいた。なぜ沖縄がヘイトスピーチの対象となったか。ジャーナリストの安田浩一さんは「日本社会の中にある沖縄差別の表れ」とみる
 ▼安田さんは、ネット右翼などと呼ばれる「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の実態を著書「ネットと愛国」で描いた。オスプレイ配備反対の東京行動も沿道で取材した
 ▼安田さんの見方に、そうかとふに落ちる感覚もあるが、正直涙も出る。基地を押し付けても沖縄なら構わない、沖縄ごときが国策に反対するのは許せない。その構造的な差別意識が日本社会に深くあることに
 ▼先日の全国沖縄県人会交流会で「構造的差別」に怒りの声が上がった。ある県人会長は言う。「本土で議会や市町村長や知事が反対すれば、国は絶対オスプレイを配備しないと思う。沖縄ならいいのか」
 ▼沖縄人として日本のマイノリティー(少数派)の立場を身に染みて感じてきた先輩たちだ。2世、3世であってもふるさとへの思いは強い。「基地撤去を願う県民と行動を共にする」という力強いアピール。基地を押し付ける国策にノーを言う沖縄にとって、大きな支えになってくれるだろう。