<金口木舌>デージやばい若者言葉


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 50歳を前にしたおじさんの愚痴に、しばしお付き合いを願いたい。実は若者の会話や言葉遣いに、なかなか馴染(なじ)めずにいる。例えば「やばい」。もともとは不都合や危険が迫ったときに用いるはず

▼食事の席で、食べ物を口に含んだ途端、この言葉を発する若者がいる。耳にするたびに「おいしいと感じているはずなのに『やばい』のか」と不思議に思う。これも世代差なのだと自分に言い聞かせてもいる
▼2004年度の文化庁「国語に関する世論調査」で、「やばい」を「とてもすばらしい」などの意味で使うか尋ねたところ、10代後半の75%、20代の51%が「使う」と答えている。それから9年、この用法はすっかり定着しているようだ
▼文化庁の調査は毎年話題を呼ぶ。9月24日に発表された12年度調査は「ざっくり」「きんきん」を取り上げた。沖縄でも日常に耳にする言葉だが、使うには気恥ずかしい
▼沖縄では若者言葉としまくとぅばが容易に結び付く。「デージやばい」を初めて聞いたときは少々戸惑った。会話の流れから、大ごとでも危険なことでもない。若者は軽い感動や驚きを込めて使うようだ。しまくとぅばもデージナトーン
▼言葉の意味や用法は時とともに変わっていく。しまくとぅばも例外ではない。言葉の根元は大切にしたい。時代と伴走しながら足元も見据えたいと、おじさんは考えている。