<金口木舌> 豊年祭に行こう


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 棒術に綱引き、琉舞はもちろん沖縄芝居もある。旧暦の八月十五夜前後から県内各地で開かれた豊年祭には、多くの人が足を運び、楽しんだことだろう

 ▼今帰仁村古宇利島では神人(かみんちゅ)が亡くなって中断した豊年祭が今年、3年ぶりに復活した。国指定重要無形民俗文化財でもある宮古・多良間の八月踊りや八重山最大の「四カ字豊年祭」も例年通りにぎやかに開かれた
 ▼住民が舞台で輝くさまは「きら星のごとく」という形容詞が似合う。集落の繁栄、共同体の結束。規模こそ違え、それぞれのシマで開く祭りに込められた思いは同じだ
 ▼豊年祭を地元の人だけでなく観光客にも楽しんでもらおうと、名護市では今年から新たな取り組みが始まった。12、13日の3カ所を手始めに各地を案内する「豊年祭ガイド」の創設だ
 ▼よそから来る人にとり、地域独特の芸能を観賞する機会はその地の文化を理解することになる。「素通り型」から地域に深く根差す「滞在型」へ。各地で取り組んでいる「体験型」も含め、沖縄観光の質を変えるユニークな取り組みといえる
 ▼外の目を意識することは、もう一つ効果が期待できる。伝統を受け継ぐ若者の参加を促すことだ。伝統行事の継承者不足が課題となる中、「見に来る人がいる」ことは大きな刺激になる。若者らが躍動し、「おもてなし」の心が加わった新たな豊年祭の姿を期待したい。