<金口木舌>勝利への支援


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 熱戦を展開中の県高校野球秋季大会で、八重山商工が先島勢としては唯一準決勝に進出した。だが、台風23号が沖縄本島に接近したため日程が変更。いつ試合ができるかと気をもんだだろう

▼八重山商工に限らず先島の高校は、本島への交通費と滞在費で大きな負担を背負う。台風など予測できない自然環境の変化により日程が長引けば、負担はより大きくなる
▼これは県内から県外への遠征も同じ。競技団体から派遣費が補助される大会もあるが、任意で参加する大会は遠征費のほとんどを負担しなければならない。「何とかならないか」―選手と家族の思いは今も変わらない
▼今年1月、知的障がい者のスポーツ活動を支援しようと、一般社団法人「琉球スポーツサポート」が設立された。学校の部活動で活躍した選手たちが卒業後も競技が続けられるよう、練習面や資金面をバックアップする
▼スポーツサポートは選手と直接契約を結び、遠征費などの援助を行う。活動費は賛助会員からの会費や物品販売に頼っている。支援の輪を広げたい。それは選手の才能と力を引き出すことにつながる
▼離島県沖縄が抱えるスポーツ遠征のハンディは一朝一夕には解消されないだろう。競技団体や行政は今一度、負担軽減のための仕組みづくりに知恵を絞ってほしい。一流アスリートの卵を、卵のまま地域に埋もれさせないためにも。