<金口木舌>世界の少女のために


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 今夜、ノーベル平和賞が発表される。最年少受賞者かと注目を集めているのが、パキスタン出身の16歳少女マララ・ユスフザイさん。女子教育の権利を求める象徴として、一躍知られるようになった

 ▼学校に通えない女子は世界中に6600万人いるとされる。ネパールにこんなことわざがある。「女の子にお金をかけるのは他人の庭に水をやるようなもの」。将来嫁いでいく娘よりも、一家の稼ぎ頭になる息子に食事も教育も金も注ぐべきだとの考え方だ
 ▼インドでも、結婚持参金の負担を減らすために、幼いうちに嫁がせる慣習がある。2003年には10代の3姉妹が親への重荷を苦にして自殺した事件もあった
 ▼いずれも「貧しい国で女の子として生きるということ」(遊タイム出版)という本で知った。世界に30万人いる子ども兵士のうち3割が少女だ。多くは誘拐され、戦闘以外に性の相手も強要される
 ▼売春業への人身売買、強制結婚、若年出産による死亡、家庭内虐待…。「健康に成長し、学校に通う」という当たり前の権利さえ奪われている子が途上国には多い
 ▼きょうは「国際ガールズ・デー」。世界中の女の子を支援しようと、昨年から国連が始めた。国家や因習、社会によって人生を封印された「マララさん」が地球には数千万人もいる。私たちにできることは何か。まずは実態を知って、考えていきたい。