<金口木舌>元気をくれたチーム


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 今季のプロ野球パ・リーグは熱い。久米島で毎年キャンプを行っている楽天が創設9年目で悲願のリーグ優勝を遂げたからだ。東日本大震災から3年目。この優勝は楽天ファンだけでなく国民の願いだったといったら言い過ぎだろうか

▼12日から両リーグのクライマックスシリーズ・ファーストステージが始まった。パ・リーグは西武とロッテが、17日に始まる最終ステージでの楽天への挑戦権を懸けて戦う
▼楽天優勝の地元の喜びは9月27日付の河北新報朝刊からもうかがえる。「東北楽天 初優勝」の大見出しと星野仙一監督胴上げの写真が1面の半分を占め、記事は優勝記事と星野監督メッセージ、コラムの3本だけだった
▼メッセージの中で星野監督は、楽天の使命について「復興の途にある東北に、勝って勇気を届ける」と明かした。闘将はずっとこの思いを胸に戦ってきたのだ
▼9月26日夜の優勝の瞬間、宮城県南三陸町の仮設商店街でも歓声が上がった。仮設住宅に住む男性は「選手の姿は一緒に頑張る気持ちにさせてくれた」と感謝の気持ちを言葉にした。チームと地元が一体となってつかんだ優勝だ
▼楽天は東北の中心都市・仙台が本拠地。地元との絆も強く、対戦チームにとっては今の楽天の勢いを止めるのは結構しんどいかもしれない。ファンとしては勇気がわくようなプロ野球の醍醐味(だいごみ)を大いに楽しみたい。