<金口木舌>就活、諦めず挑戦し続けて


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 建築ノーベル賞といわれるプリッカー賞を受賞した世界的建築家の安藤忠雄さん(72)は建築士試験を独学で突破した。高校卒業後プロボクサーの道を歩むが挫折。24歳の時に世界を放浪し「人生はしょせん、どちらに転んでも大した違いはない」と考える

▼ならば自分が目指し信じることを貫く“闘う生き方”を決意する。建築士試験合格後、世界を相手に設計競技に挑むが連戦連敗。だが諦めなかった。「いかに全力で臨もうとも失敗することはある。でも最悪なのは、挑戦せず最初から諦めて逃げてしまうことだ」
▼県内の大学3年生は今秋から就活準備を本格化させる。琉球大では最近の学生は積極と消極の両派に二極化しているという。最初から諦めている学生も多いようだ
▼確かに、非正規雇用の拡大など社会に学生を萎(な)えさせる要素もある。思い通りにいかないことは多々あろうが「思い」が最初からなければ道を切り開くことはできまい
▼作家の唯川恵さんの発想は面白い。「どっちが得か」で選ぶと後に「やっぱり損した」と後悔もするが、好きで選んだ道だと、どんな結果でも「ま、いいか」と受け入れられる-というものだ
▼就活は社会に船出する出発点だ。採用されても社会の荒波が待っている。結局、人の一生とは人に支えられながら挑戦、挫折、学習、再起の繰り返しのように思える。