<金口木舌> 若手農家にチャンスを


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 ミカン狩りシーズンの到来を告げる本部町のイベントで、爽やかな香りに誘われてカーブチーの加工品を衝動買いした。ミカンのエキスが凝縮されたような香りが何ともいえない

 ▼やんばるは実りの秋。カーブチーやシークヮーサーなどかんきつ類が旬だ。カーブチーは皮をむくのが面倒で以前は消費者から敬遠されたそうだが、香りを前面に出した加工品開発の効果もあって見直されている
 ▼ただ気掛かりなのは農家の高齢化だ。売れる作物なのに作り手が不足している。同じ話はパイナップル農家の集まりでも聞いた。生産量が減る要因は台風や鳥獣被害でなく農家の高齢化という
 ▼作り手が減れば農地は余る。そうした耕作放棄地の活用は大きな課題だ。荒れ地を再び生産の場にしようと、各地で知恵を絞っている。大宜味村はソバ、うるま市は津堅ニンジンというように付加価値の高い作物を導入する
 ▼名護市農業委員会は、新規参入する若手農家に土地を仲介している。この2年で50ヘクタールの土地をよみがえらせた。とはいえ耕作放棄地は名護市だけでまだ約200ヘクタール残る。道半ば、というところか
 ▼6次産業化など農業も「攻める姿勢」が必要な時代だ。荒れた土地をそのままにするのはもったいない。意欲はあっても土地がない若者にチャンスを与えてほしい。「やんばるの旬」がいつまでも味わえるように。