<金口木舌>世界の空手


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 海外の門弟を含め会場は空手関係者の熱気で沸き返った。沖縄空手道古武道功労賞の贈呈式が23日夕、那覇市内のホテルで催され、7氏の栄誉をたたえた

▼受賞した7氏はともに70代。物腰は柔らかだが、凜(りん)とした姿勢と眼光の鋭さから、長年、空手道古武道に打ち込んできた武道家魂が感じられた
▼これまで各氏は、沖縄にいて研鑽(けんさん)を積んだだけではない。世界には多数の空手愛好家がいる。海外に赴き普及発展に尽くしてきた。各国で演武を行い、指導の講師を務めてきた。世界を股に掛けての活動も大きな功績だ
▼受賞者は「伝統空手の基本である礼節、守礼の心を後世に伝えていきたい」などと、後継者育成への熱意も示した。各氏は技術面だけでなく、その奥に宿る「心」を継承することにも腐心してきたのだ
▼今年9月、県と沖縄伝統空手道振興会は、初の沖縄伝統空手・古武道国際セミナーを開いた。海外からも多数が参加し、空手発祥の地・沖縄で学んだ。琉球・沖縄の歴史や空手の神髄を肌で感じ取った
▼セミナーに限らず、空手の聖地・沖縄を訪れる外国人空手家は多い。だが、世界の空手人口からすれば、それはほんの一握りにすぎない。今後の空手道古武道の継承発展のため、各流派が大同団結して海外での指導計画を立てるなど、世界をより意識した普及戦略が必要ではないか。