香川県高松市に「奇跡の商店街」と呼ばれる街がある。広々としたアーケードに枝を伸ばす植栽。おしゃれなブランド店と、昔ながらの和菓子屋が並ぶ。商店の上層階のマンションは即完売の人気だ。若者もつえをついた高齢者も雨にぬれずに買い物を楽しんでいた
▼そんな高松丸亀町商店街も以前は典型的なシャッター通りだった。2005年の写真は、沖縄にもあるような寂れた商店街だ。イベントを仕掛けても買い物客がなかなか寄り付かないところもよく似ている
▼沖縄の商店街からは「駐車場がない」「家賃が高くてよそ者が借りられない」「役所が何もしてくれない」などの“ないない話”を聞く。買い物客にとって魅力的な街かという自問自答もしているとは思うが、諦めが先に立っていないか
▼再開発に当たって丸亀町が最初にしたのは失敗の研究だった。商店街振興組合の古川康造理事長は「役所に丸投げすること、大型店に頼った再開発は日本中で失敗している」ことを発見した
▼同商店街の成功の秘訣(ひけつ)は土地の使用権を地元でつくるまちづくり会社に委ね、街を再編成する改革を進めたことだ。思い切った改革は「地元主導の街づくり」という自治の力に根差していた
▼ないない話ではなく「人を呼びたい」「買物したい」「自らも何かしたい」という“たいたい話”の中にこそ、まち再生のヒントがありそうだ。