<金口木舌> 怒りをエネルギーに


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 作家・落合恵子さんの髪型はユニークだ。爆発しているような大胆なパーマ。友人が親しみを込めて呼ぶ「怒髪(どはつ)」は、今や落合さんのシンボルマークだ

 ▼この髪型にしたのは長年の母の介護がきっかけだった。「手間が掛からない」のが理由だ。2011年3月11日以降、「怒髪」の落合さんの怒りは福島第1原発事故を起こした、この国の在り方に向けられている
 ▼「原発はもとより、オスプレイも、むろん基地も反対です」。呼び掛け人を務めている「さようなら原発1000万人署名 市民の会」の集会であいさつした落合さん。原発、オスプレイ…。落合さんの「怒髪」は、命を脅かす脅威に対し、敏感なアンテナのように反応している
 ▼県民の怒りを「マグマ」に例えたのが、稲嶺恵一前県知事だ。2000年の沖縄サミット直前に起きた米兵のわいせつ事件に対し、官房長官に「戦後55年の積み重ねがある。このすごいマグマの認識をよっぽど強く持ってもらわないと困る」と言い放った
 ▼あれから13年。戦後68年を迎えた沖縄の空はより危険度を増している。子どもたちの頭上にはオスプレイが飛び交っている
 ▼「疲れてはいけない。持続する怒りを温めよう」。脱原発に向けた落合さんの言葉。同じことは脱基地を目指す沖縄にも言えることだと思う。過重負担を押し返すエネルギーを蓄えよう。