<金口木舌>学校へ歩こう


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 米国には厄介なヘリコプターがいるようだ。米軍の話ではない。その名も「ヘリコプター・ペアレント」。常に子どもの周りを旋回していて、いざ問題が発生するとすぐに駆け付ける、過保護、過干渉の親のことだ

▼1990年代に現れた。大学生になっても口を挟んでくるらしい。成績や講義で苦情を言い、就職活動にも介入するなど、ヘリの出動態勢は万全だ。子の側も嫌がらないというから驚く
▼さて、沖縄の親たちはどうだろう。先日の県教育庁調査を見て考えさせられた。「親の車で登校する」小学生が26・2%、中学生は33・9%いた。背景には夜更かしで朝ぎりぎりまで寝ているという生活の乱れもある
▼もちろん、さまざまな事情があろう。通学路の交通量が多く危険だとか、不審者への防犯対策とか、心配する親心はよく分かる。それでも3割は多くないだろうか
▼豊見城市は今月から市を挙げて「てくてく登校」に取り組んでいる。3年前から先行実施しているとよみ小学校では、徒歩登校が96%に達した。朝から体を動かすことで脳が活性化して集中力が上がったほか、太り過ぎの子が少ないなどの効果が出ている
▼通学路の安全を確保した上での話だが、子どもたちよ、ヘリコプターからも車からも離れて自分の足で歩いてみよう。親の側も送る回数や距離を減らすことから始めてはどうだろう。