<金口木舌>2039年にこの国は


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 50年前の11月22日(日本時間23日未明)は世界に衝撃が走った。ケネディ米大統領の暗殺事件だ。沖縄でも号外に人が群がり、社員運動会を中止する企業もあった

▼米史上最年少の43歳で大統領に就任。キューバ危機の核戦争回避や部分的核実験禁止条約締結、黒人学生の入学を拒む大学への撤回要求など、時代を画する政策で人気を得た
▼1963年3月には沖縄新政策を発表し、「琉球が日本本土の一部であることを認める」「完全に日本の主権の下に復帰することを許す日を待望している」と述べた。施政権返還への一里塚となった
▼歴史に「もしも」は禁物だが、彼が長く生きていたら世界史は変わったかもしれない。冷戦の中で緊張緩和を模索し、傑出した仕事をしたことが逆に多くの敵も生んだ。暗殺の真犯人については今なお臆測が飛び交う。軍産複合体、マフィア、CIA、ソ連…
▼事件を調査したウォーレン委員会の報告書は一部が75年間封印され、2039年に秘密解除される。重大な国家機密も歴史の光の下にさらされるのは、情報は国民のものという考え方が根底にあるからだ
▼一方、日本の特定秘密保護法案は国が秘密を決め、期間も意のままに延長し、半永久的に闇に葬ってしまう。ケネディ事件の真相が明らかになる26年後。歴史にふたをする道へと進むこの国はどんな姿になっているのか。