<金口木舌> 沖尚旋風


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 第44回明治神宮野球大会決勝が行われた20日、神宮球場に「沖尚旋風」が巻き起こった。高校の部で県勢として初優勝した沖縄尚学は、大会史上決勝最多得点差の8点差をひっくり返し9-8で勝った

 ▼「筋書きのないドラマ」を地でいく、見事な大逆転劇だった。相手の日本文理(新潟)は中盤まで優勢に試合を進めた。大会新記録の1試合5本塁打を放ち、六回を終わって0-8。だが沖尚は七、八回に猛攻を見せた
 ▼大逆転の立役者はエースの山城大智選手と2番手の久保柊人選手。山城選手は七回に追い上げ開始の3ラン、久保選手は八回に口火の安打と逆転適時打を放った。2人が奪われた8点を、2人の打撃を中心に取り返した
 ▼沖尚ナインの逆境での強さを見た。比嘉公也監督の選手への緊張感みなぎるノック、緊迫した場面を想定し声を掛け合い克服する地道な練習などが奏功し、ナインは大会ごとにたくましさを増しているように感じる
 ▼大学の部では沖尚出身の嶺井博希主将率いる亜細亜が優勝した。決勝前に比嘉監督から「次はお前の番だ」と激励され、それをパワーに変えて全得点をたたき出した。二重の朗報だ
 ▼来春の選抜大会出場が確実な沖尚。神宮大会優勝で、3度目の選抜制覇への期待が一層膨らんだ。監督・選手が理想を追求し、次はどんな野球を見せてくれるか。選抜が待ち遠しい。