<金口木舌>携帯マナーは大人から


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 米名門オーケストラのコンサート会場で起きたハプニング。演奏中アラーム音が鳴り響き、指揮者は演奏を止めた。音の発生場所周辺の聴衆が携帯電話を触ったところ、音は止まった

 ▼帰宅後に自分の携帯電話が原因と気付いた男性は指揮者に電話し謝罪した。「楽団員や聴衆が私を許してくれますように」。演奏中はマナーモードにしていたが、目覚まし機能はオンのままだった
 ▼マナー違反にはいろいろあるが、携帯電話の使い方ほど近年、モラルの必要性が高まっているものはないだろう。機能豊かなスマートフォンの普及もあり、画面との“にらめっこ”は至る所で見られる光景になった
 ▼県内高校生が自ら作った「ちゅらマナーハンドブック」は6項目中3項目を携帯マナーに割く。「ながら携帯は危険!」と題し、痴漢やひったくりに遭う危険や自転車運転の事故を例に挙げる
 ▼一方の大人社会。車の運転中の携帯電話使用が後を絶たない。14年前に道路交通法で禁止規定が設けられたが、県内ではその後も年間1万3千件余が摘発されている。人身事故も今年は10月末現在で49件にも上る
 ▼車社会の沖縄で、ながら携帯の運転は大きな危険を伴う。コンサートと違い、事故はけがばかりか、命さえも奪い去る。学校でのマナー教育もさることながら、肝心の大人が手本を示さなければなるまい。