<金口木舌>科学のまちづくり


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 小学校高学年から中学生のころ、アマチュア無線に凝った時期があった。ささやかながらも情報を発信するうれしさと機械いじりの面白さから、帰宅すると無線機にかじりついた

▼無線技術に必要とされるのは、学校の教科でいえば数学や理科、それに工作か。不思議なもので、苦手な科目ばかりなのに全く苦にならなかった
▼好きなことなら、自ら知識を探し求めるのは楽しい。あらためてそんなことを思ったのは、国立沖縄工業高等専門学校(沖縄高専)が実施するプロジェクト「ALLやんばる」の出前授業で、身を乗り出して実験を見詰める小学生を見たからだ
▼「ALLやんばる」のテーマは科学と教育のまちづくり。簡単な実験ができる常設施設を小学生に開放し、離島にも出掛けて大人と子ども向けの科学教室を開く
▼出前教室で、子どもたちは予想を立て実験で結果を確かめる。科学そのものの面白さも大事だが、自分なりの仮説が合っているかを確認する過程はさらに楽しい。そうした「科学的思考」こそ重要だと気付かされる
▼未来を予想し、行動することはテーマである「まちづくり」と共通する。来月4日にはプロジェクトの成果を語るシンポジウムが名護中央公民館である。数学・理科が苦手な人も足を運んでほしい。新たなまちづくりへのアプローチといえる「科学の面白さ」を市民で共有したい。