<金口木舌>来年の憂い


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 来年のことを言えば鬼が笑うというが、厄年を迎える人にとっては気になるころ。2014年の干支(えと)は午(うま)だ

▼60年で一回りする干支で言えば甲午(きのえうま)で、60年を1時間に例えると31分、後半の始まりに当たる。陰陽の気が変わる節目かもしれない。午年は1954年に不況で90年はバブルが崩壊するなど景気が下降しやすいとも言われる
▼どうしても憂いが先に来る。来年4月の消費増税は、鬼に笑われようが庶民には一番気掛かりだ。帝国データバンクの調べでは、県内企業の7割が「悪影響」とみて消費の落ち込みや顧客離れを心配する。企業も価格転嫁の判断や価格表示の在り方で頭を痛めているだろう
▼全国に比べ平均所得の低い県内の家庭では家計への打撃に気をもむ。「食費をもっと切り詰めないとやっていけない」。食費など生活扶助を8月に引き下げられたばかりの生活保護世帯の女性から切実な声が聞かれる。この女性は非常食を買って備えるという
▼政府の税と社会保障の一体改革はどうなっているのか。安倍晋三首相は企業減税が柱の経済対策に積極的だが、社会保障の理想像をどう描いているのか。生活の先行きに庶民の不安は募るばかりだ
▼私たちの声を政策に反映して-。生活弱者ほどその思いは強いだろう。来年は景気、暮らしで明るさを取り戻したい。馬のような力強い足取りで前へ進みたい。