<金口木舌> 行方見つめる本土のウチナーンチュ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 「沖縄人として誇りがないのか」と憤るのは沖縄県人会兵庫県本部の大城健裕会長。普天間飛行場移設問題で自民党国会議員や県連が「県外」の公約を翻した時の感想だ。「本土の人に沖縄は金で基地を受け入れると言われるのがつらい」

▼9月、全国の沖縄県人会は初めて基地問題でアピール文を全会一致で採択した。「沖縄への基地の押し付け、本土の無関心が『構造的差別』を生み出している」と
▼県人会は、さまざまな人たちが集まる親睦団体なだけに政治的な意思表示をすることはなかった。しかし過重な基地負担に加え、オスプレイ配備を強行した日本政府には我慢できなかった
▼「ヤマトンチューは悪気はないけど無関心で沖縄を知らないんですわ」とは大阪沖縄県人会連合会の嘉手川重義会長。東京沖縄県人会の渡久山長輝会長は「異民族が武力で奪った土地を同民族が法律で合法化したのが沖縄」と皮肉る
▼本土の中の少数派として差別にも遭った。離れた故郷への思いもあろう。アピール文は「県人会は各都道府県で沖縄の現状を訴え、米軍基地撤去を願う県、県民と行動を共にしていく」と締めくくる
▼仮に普天間飛行場の名護市辺野古への移設を承認すれば、沖縄県が史上初めて新基地を自ら認めたことになる。知事の決断はどうなるか。本土のウチナーンチュもその行方を見つめる。

→特集 「普天間」公約関連記事