＜金口木舌＞サンタは何人？

　サンタクロースは何人？　娘のなぞなぞに、サンタをニッセの愛称で親しむノルウェー人と答えると得意げに「ブー。正解はヒマ人」。なるほど世界中の子どもに贈り物を配るには時間がかかる

▼冷やかす言葉の裏に「もらって当然」との意識が見え隠れするのが気になるが、笑いを誘う珍答としてはなかなかいい。高価な物を贈り合うのがクリスマスと思われがち。だがそもそもサンタの由来は困った人を救う話。貧しくて娘を嫁に出せない家庭に金貨を投げ入れたニコラスがモデルと言われる
▼３年前、サンタなどを名乗り児童養護施設にランドセルを贈る行為が相次いだ。後に実名を明かした女性は幼少時にいじめを乗り越えた経験から「困っている子どもに何かしてあげたい」と思ったという
▼戦火の中の子どもたちに何ができるかを自問する音楽家の坂本龍一さんの体験と重なった。モザンビークの９歳の子が大人になったら何になりたいかの問いに「小さい子ども」との答えに衝撃を受ける。理由は「子ども時代がなかったから」
▼貧困、いじめ、虐待…。困っている子どもはあまたいる。電光装飾が輝く身近な街にも。「何かしてあげたい」。この気持ちを行動に移せば誰でもサンタになれる
▼今日はクリスマスイブ。苦しんだり、寂しがったりしている子どもの心に救いの光を照らすサンタがたくさん現れてほしい。