<金口木舌> 今年のハッピーニュース


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 今年も残すところ2日。この1年、たくさんの人々の喜怒哀楽が紙面を彩った。ハッピーニュースの一つに挙げたいのが、本紙エッセー『おはなしありんくりん』を執筆した伊是名夏子さんが今夏、男児を出産したという記事だ

▼那覇市出身の夏子さんは、生まれつき骨が折れやすい骨形成不全症で日常生活では車いすが欠かせない。現在は香川県で子育てに励んでいる
▼7人のヘルパーを利用している。「助けがあればできることを、助けがないという理由で諦めざるを得ないことは悲しい」。以前から将来の子育てを意識してヘルパーを活用し、子育て環境をつくってきた
▼福祉サービスは自治体によって違う。「自ら学ばないと。役所に行っても教えてくれない」と夏子さん。「洗顔には10分必要だ」など何を支援してほしいか明確に伝え、交渉することが大事だと言う。国内外の福祉の先進地と言われる街で障がいを持った人たちとの出会いから学び、力にしてきた
▼「ヘルパーの使い方を小中学校の段階から教えることはできないか」と提案する。そうなれば、障がいを持った子が社会に出た時の暮らしが想像しやすい。家族任せではない、福祉の在り方を考えるきっかけになるはずだ
▼夏子さんのまなざしは多くの気付きを教えてくれる。子育てから感じ取った思いをこの先どう発信していくのか。とても楽しみだ。