<金口木舌> OTHER VOICES


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 きょうが仕事始めという人も多いことだろう。新たな誓いを立てて、幸先のいい新春のスタートを切りたいところだ

▼この1年をどんな年にしていくか。ヒントになりそうな言葉と出合った。作家・落合恵子さんは著書『自分を抱きしめてあげたい日に』の中で東日本大震災、福島第1原発事故が起きて以来、この言葉とその概念がいつも心にあると書いている
▼「OTHER VOICES」-。別の声、別の価値観という意味だ。社会の真ん中ではない、たくさんの声。年齢を軸に考えれば、子どもと高齢者になる。経済効率を優先する社会なら、生産性が低い分野といえようか
▼対極にあるものが、「MAIN VOICES」で、主流の声だ。昨年ほど、政治中枢である永田町からこの声が大きく響いた1年はなかった。力に任せ、世論の過半数が反対する特定秘密保護法を成立させた。米軍普天間飛行場移設計画に伴う辺野古埋め立ても同様だ。沖縄の声は、中央には届かないようだ。いや、「聞かない」と決め込んでいるようにも見える
▼4日、安倍晋三首相は「強い経済を取り戻す」と新年の抱負を語った。強い国づくりを求めるあまり、周縁にある者の声をないがしろにしてはならない。今、中央と地方の距離感は深刻だ
▼「OTHER VOICES」が今こそ必要なときだろう。大きな渦に巻き込まれないためにも。