<金口木舌>書き損じはがきの届け先


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 久しく会わない友人知人にも近況を伝えられる年賀状。筆者は年が明けてから書き始めるという悪い習性が抜けず、先日やっと出し終えた。焦るので逆さに印刷したり、住所を間違えたりしてしまう。そんなはがきを活用できる方法がある

▼日本ユネスコ協会連盟が進める「世界寺子屋運動」だ。書き損じはがきを集めて原資にし、途上国の教育支援に充てる
▼1枚が45円分の募金になり、ネパールでは鉛筆7本、アフガニスタンではノート2冊、ラオスではチョーク35本が買える。11枚だと、カンボジアの子ども1人が1カ月間学校に通えるそうだ
▼世界には学校に行けない子が5700万人、読み書きができない大人が7億3500万人いる。それぞれの村に寺子屋を設けて、読み書きや農業・工芸などの技術も教える。読み書きできないことが、安定した仕事や収入を阻むという貧困の連鎖を断ち切るのが狙いだ
▼県ユネスコ協会(県教育庁生涯学習振興課内)によると、県内では昨年、書き損じはがきと未使用切手5141枚が寄せられ、24万円余を贈った。9割が小中高校からだ。全国では108万枚が集まり、昨年はアフガニスタンに1軒、カンボジアに2軒の寺子屋が完成した
▼身近でできる国際協力。書き損じはがきは知人には届かなくても、外国の子どもたちに笑顔と明るい未来を運んでくれる。