<金口木舌>桜のごとく凜として


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 昨年の暮れから「今年はいつもより寒いね」というあいさつを何度か交わした。元日は気持ちよく晴れたが、まだまだ寒さが残る

▼冬の深まりを思わせるムーチービーサの中、名護城跡周辺では桜の花がほころび始めた(8日付25面)。濃いピンク色の花を見ると、冷たい風を受けながらも、春が近づいていることを感じる
▼本部町、今帰仁村は18日から、名護市では25日から桜まつりが始まる。台風被害があり、老木も増えたことで昨年の桜まつりは花自体が少なく、訪れた人をがっかりさせた。それぞれの役場や観光協会に聞くと、今年はつぼみが多く期待できる
▼「まだ三分咲きだが、ぐっと冷え込んだので、もう一度暖かくなれば開幕するころには見頃」と本部町の担当者。寒風にさらされながら、じっと満開のときを待つ桜に「頑張れ、頑張れ」と声を掛けたくなる
▼美しい桜を見るためには、寒暖の差が大きくなることが条件とされる。見る人を穏やかにさせる桜に心ひかれるのは、厳しい寒さを乗り越える力強さもあるからではないだろうか
▼沖縄はまさに冬の時代。公約を覆し、宝の海を埋め立てようと、東京から強く、激しい北風が吹きつける。それをはねのけるには県民の強い意思がいる。ただ我慢するだけでなく春を迎えるために力を蓄える時期だ。桜のごとく凜(りん)とした姿で北風を受け止めたい。