<金口木舌> 表看板は…


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 週末は近所のスーパーで、1週間分の食料品をまとめ買いする。帰りは、エコバッグが指に食い込むほどだ

▼この1年ほどだろうか。レジで財布を開くたびに、違和感を覚える。予想していた金額以上に支払いが大きく、物価の上昇を肌で感じる。さらに、4月から消費税が5%から8%に上がる。これまでとは違った負担感を味わうことになりそうだ
▼17年ぶりの消費税増税まで3カ月を切った。住宅、軽自動車の駆け込み需要も増えている。「少ない年金も下がる中、消費税まで上がったら、どうすればいいのか」-。本紙社会面の連載『生きんかな』で、年金減額にため息を吐く夫婦の姿が描かれていた。妻を介護する夫は、スーパーの夕方の食品売り場で“おつとめ品”シールが貼られた食品に目を走らせる
▼消費税増税は、社会保障の充実が目的だったはず。ところが、最近社会保障分野への風当たりが強い。介護保険制度の見直し、年金の減額…。「切り下げ」「負担増」の文字がやたら目立つ
▼さらに、消費税増税に伴う病院・診療所の診療報酬のうち初診料の引き上げが検討されている。そうなれば患者の窓口負担が増える。病院に行くことさえ、二の足を踏んでしまいそうだ
▼表看板は「社会保障の充実」なのに、のれんをくぐると違っていた。そんな偽装は許されない。消費者の厳しいチェックが欠かせない。