<金口木舌>若者からのメッセージ


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 名護市の高台、通称・銭ケ森から、ことしも柔らかなオレンジ色の光がまちを照らしている。新成人となる東江中学校の卒業生が、毎年設置する光文字。ことしは「志」

▼「新成人だけでなく市民のみんなが、一人一人高い志を持ってほしい」との願いが込められている。昨年11月に実行委員が話し合って決めた。新成人たちが社会へ踏み出すに当たり、ふさわしい一文字といえる
▼名護市の新成人が毎年ともす光文字は、その時々の世相も映してきた。普天間飛行場の代替施設建設先として名護市が挙げられ、世論を二分したのが1997年の市民投票。その翌年に新成人が掲げた文字は融和を願う「和」だった
▼ことしの「志」には、どういう期待が込められているだろう。若者たちが胸に秘めるのはまちおこしへの夢か、それとも名護市の未来図か。一人一人が思い描く将来像を突き合わせて、実りある議論につなげたい
▼新成人のメッセージに照らされる名護の市街地で今2人の候補者が、それぞれの「志」を掲げて論戦を交わす。基地、経済、暮らし、論点は数多い。どちらの志に共感する人が多いか、答えはあす分かる
▼和や志以外にも、これまで光文字は「幸」「絆」「夢」などがあった。高い志を掲げ、市民の絆と和がある名護市。その先には夢がかなう、幸せな社会-。若者が残した数々のメッセージを今こそ実現したい。