<金口木舌>いい旧正月


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 巨大な竜が舞い、豪華な山車や踊りが大勢の観客を魅了する。2年前、旧正月の香港を訪れ、目にしたパレードの光景だ。路上からあふれる観光客の多さも印象に残った

▼香港のほか、中国、台湾、韓国も旧正月は国民の休日だ。休みを利用した海外旅行客は沖縄も誘致したいところ。今月31日の旧正月前後はチャーター便の計画が多数ある
▼沖縄の入域観光客数は好調で、昨年は過去最多の641万人を超えた。外国人客の増加が大きく後押しした。台湾、香港、韓国、中国の順で多い。ちなみにお隣の台湾も好調で、昨年末に800万人を突破し、5年前と比べ2倍を超えた
▼沖縄も飛躍するには旧正月はいいチャンスだ。中国語や韓国語をもっと学び、きめ細かな“おもてなし”を心掛けたい。案内板だけでなく、心が通じる会話も増やしたい
▼ただ長い目で見て気になるのが尖閣問題だ。持ち上がった際には中国人観光客が激減した。徐々に回復しているが、緊張を招く事態が起これば安全・安心という観光の根幹が揺らぐ。肝要なのは火種の除去
▼「新基地を造れば中国を刺激し友好関係に支障が出る」。大戦で旧陸軍の多くの同期を中国で失った、辺野古に住む90代男性の憂いだ。知事の「いい正月」発言は反発を招いた。同じアジアの人々といつでも安心して「いい旧正月」を迎えられる沖縄の実現はいつだろう。