<金口木舌> タコライスに続け!


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 米、肉、野菜の味がうまく組み合わさり、白、茶色、緑、赤と見た目のバランスもいい。誕生から30年、世界に広がる新たな県民食といえる。ご存じ「タコライス」

 ▼20年ほど前、コンビニエンスストアで買ったタコライスを食べていたら、年配の人に「何だそれ?」と不思議な顔をされた。タコス自体は定着していても、まだ認知度が低かった
 ▼今では県内はもちろん、東京をはじめ国内各地にタコライスを提供する店がある。ニューヨークなど海外にも広まっているというから驚く。元祖・県民食の沖縄そばに追い付き、追い越す勢いだ
 ▼タコライスを考案した金武町の儀保松三さんによると、暮らしをよくしたいという一心で生まれた新メニュー。当時は円高で、主な客である米兵の懐具合と満足感にも気を配った。家族ぐるみで経営に当たり、守り育てた
 ▼地元に根差した特産品開発は、どこのまちでも取り組んでいるが、大ヒットに結びつけるのは難しい。その点、タコライスは味が受けただけでなく、消費する人がいる地の利、家族が一体となって商品を育んだ人の和など、多くの要因があったと思う
 ▼完成された「タコス」という食べ物に、一ひねり加えることで成長した。そう思えば、まだ隠れたヒットの種は足元にあるかもしれない。タコライスという生きたお手本に見習い、第2、第3の矢が続くことを期待したい。