<金口木舌>銀盤に咲け


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 「桜子」という名前には「己をしっかり持ち、みんなに待ち望まれる桜のような子になってほしい」との願いが込められているという。その名の持ち主、花城桜子さん(那覇国際高1年)は1月23日に行われた全国高校スケート、アイスホッケー選手権フィギュア競技で大きな試練を経験した

▼仙台市に住んでいた中学1年時に宮城県大会で優勝、東北大会でも2位の実績を持つ。今回、沖縄県勢初の代表として出場した花城さんは決勝進出を果たせなかった。だが、この経験はきっと競技人生の“肥やし”となろう
▼中1の時、東日本大震災に被災した。スケート靴を持って自宅を飛び出したが、住んでいたアパートは全壊。母順子さんの出身地・那覇市に移り住み、県内のリンクで練習を続けた
▼今回のインターハイは3年ぶりの公式戦で、全国レベルの高さを実感したという。「命どぅ宝」が好きな言葉だという花城さん。その素直さと粘り強さで、これからの試練を乗り越えてほしい
▼7日に開幕するソチ冬季五輪の日本代表・羽生結弦選手は、花城さんが仙台にいたころに通ったクラブの先輩。羽生選手が小学校の卒業文集に書いた夢は「五輪金メダル」だという。花城さんも先輩に続いてほしい
▼桜子の「桜」という字は「満開」や「春の到来」という言葉も連想させる。その名前の通り、銀盤で華やかに咲き誇る日が待ち遠しい。