<金口木舌>未来開く女性科学者


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 優れた女性の研究者に贈られる「猿橋賞」。2007年に死去した元中央気象台(現気象庁)勤務・猿橋勝子さんらが創設した賞

 ▼猿橋さんは1954年のビキニ水爆実験で第五福竜丸がかぶった「死の灰」の分析に尽力した。退職金を提供し、自身の退職パーティーに集まった知人や友人にも寄付を呼び掛けて、「女性科学者に明るい未来をの会」を立ち上げた
 ▼男性と同じ業績を上げても、不当に低い地位に置かれた女性科学者たち。「優れた女性科学者たちにもっと光を当てたい」。猿橋さんの後身に寄せた思いが賞には詰まっている。昨年までに33人へ贈られた
 ▼万能細胞「STAP細胞」を作った小保方晴子さん。猿橋さんがいたら、快哉(かいさい)を叫んだに違いない。世界的な英科学誌から一度は「歴史を愚弄(ぐろう)している」と否定された。泣き明かした夜は数知れず。しかし、常識にとらわれない柔らかな感性で、画期的な発見を呼び寄せた
 ▼病気で子宮を失い、出産できなくなった人を救う研究がしたい-との思いで再生医療の道に進んだ。小保方さんは自らの研究の先に、多くの女性の笑顔を思い浮かべているのだろう
 ▼注目株と言えば、県出身で米ニュース紙の「世界の発明50」に選ばれた東京大学大学院の若手、玉城絵美さんもいる。人類の発展に貢献する「リケジョ(理系女子)」が次々登場してほしい。