<金口木舌>ウヤファーフジへの報告


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 きょう15日は旧暦1月16日。沖縄の年中行事である「十六日祭」だ。ご先祖さまが暮らすあの世、いわゆる後生(グソー)の正月に当たる

▼餅店を営む知人に聞くと、この時期は注文が増えるそうだ。十六日祭の後も彼岸、清明祭と暖かくなるにつれ、注文が増える。行事が廃れることを懸念する向きもあるが、伝統はウチナーンチュの暮らしに根付いている
▼各地で行われる十六日祭では、過ぎた1年の出来事を報告し、向こう1年の家族の安全を願う。暮らしは現代的になっても、心の深いところで先祖(ウヤファーフジ)とつながる沖縄の精神を大事にしたい
▼さてご先祖さまにこの1年を報告するなら何から話そうか。「わったースー(父親)とぅ嫡子やウチナーぬ宝どぅやる辺野古ぬ海ん、銭とぅ引き換ーてぃ埋みさしんりち言ちょーん」
▼140万県民を家族に例えれば、「県民のお父さん」が知事で長男格は自民党県連の人々か。しかし、このご両人、家族をまとめるどころか率先して和をかき乱している。ご先祖さまは「アキサミヨー」と嘆いているに違いない
▼現世だけでなく、後世に生きる子どもも、グソーにいる先祖も一緒に「いい正月」と言える知らせは一つしかないと思う。「ウチナーンチュや、むる力合ーち、島ぬ宝守いん」。来年の十六日祭は、ご先祖さまに堂々と胸を張れる報告がしたい。