<金口木舌> 環境貢献とビジネスの連動


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 県の記念日に樹木で初めて「フクギの日」が加わるという。「フク」にちなみ2月9日。本部町備瀬の並木道や渡名喜島の屋敷林などは、地域をつなぐよりどころとしても継承を願いたい

 ▼「カーボン・オフセット」という言葉がある。まず温室効果ガス排出を極力減らし、削減できない分はガス削減の事業に投資し埋め合わせるという考え方だ。この動きが全国で芽吹きつつある
 ▼企業や団体が、植林や育林で実現したガス削減量を購入し、自らの排出分を相殺する。環境意識が企業と削減事業者を結ぶ。一歩進んだ地球温暖化対策とされるが、残念だが削減事業として国に認証された例は県内にまだない
 ▼一方、県単位で認証制度を設ける先進地もある。国内第1号は新潟県の「佐渡市トキの森プロジェクト」。育林で得た資金を再び森林生態系の保全に活用し、地域おこしを促す
 ▼その新潟県。近年は建設業者の総合評価の項目にカーボン・オフセットの実績を試験導入する。開発も環境保全と切り離せないというメッセージだろう。高知県でも公共工事の成績評価の対象に採用。事業の「進化」が進みつつある
 ▼県内ではやんばるの森などへの活用があり得るだろう。守り育てた環境を財産として経済発展につなげるか否か。考え方を少し変えるだけだ。全国の手本に近づくよう、沖縄型の循環モデルを考えたい。