<金口木舌>プチ整形した港川人


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 約2万年前に生きていた「港川人」が今年“プチ整形”をした。髪の毛をカールし、目をくぼませ、顎を細く、鼻をもっこりさせた。県立博物館・美術館にある復元模型の話だ

▼港川人は従来、縄文人の祖先と考えられていた。ところが最新の研究で両者のつながりは薄いことが判明した。どちらかと言えばニューギニアの人々に近いため、同館は日本人風だった模型の顔立ちを修正した。とはいえ、どこかウチナーンチュに似ているのはご愛(あい)嬌(きょう)か
▼手に持つ物も変えた。これまでは、木のやりと、本島南部にも数多くいたヤンバルクイナだったが、2014年型は左手にモクズガニ、右手にオオウナギを携えている
▼09年に始まった南城市のサキタリ洞遺跡の発掘調査で、港川人とほぼ同時代の地層からウナギの骨や大量のカニの爪が見つかり、その成果を反映させた
▼サキタリ洞では歴史的な発見が相次ぐ。先日発表された国内最古(2万3千~2万年前)の貝器は、道具が見つかっていなかった沖縄の旧石器時代の謎に光を差した。12年以降、1万4千年前の石器や、沖縄最古の9千年前の押(おし)引(びき)文(もん)土器も出土した
▼現物は博物館で開催中の速報展でじかに見られる。変身したばかりの初々しい港川人にもお目に掛かれる。発掘はまだまだ続く。より古い層から何が出てくるのか、島のルーツを探る営みに期待は高まる。