<金口木舌> 定時制高校生に学ぶ


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 学校の中庭の池に500個の“花”が咲いた。福島から届いた竹で作られた灯籠にともる火は、被災地復興を誓う高校生の決意を映しているようだ

 ▼北部農林高校定時制の生徒が3・11に学校で開いた鎮魂祭。授業の一環で被災地の現状を学び、自らできることを模索してきた。「花咲くプロジェクト」と名付けた活動の集大成。竹は活動を知った農家からの贈り物だ
 ▼プロジェクトでは、うれしい贈り物がほかにもあった。秋田県の農家から届いたリンゴだ。放射線などの風評被害に悩む農家のリンゴには「負けない」と手紙が添えてあった。生徒たちは「ものづくりへの気概」も感じ取った
 ▼最近、同校定時制の頑張りが目立つ。3人の生徒は、気温が高い沖縄に向かないとされたシクラメンの開花に成功した。そのうちの1人は午前9時から午後5時まで働きながら学校に通っているという
 ▼定時制にはさまざまな年代の生徒が通う。一度社会に出たものの、学び直しに来る人もいる。世代は違っても変わらないのは学ぶ意欲だ
 ▼悩んだ時、迷った時、一度は立ち止まって考えたい。「なぜ人は学ぶのか」を。定時制のような厳しい条件でも、意欲があればできることは幾らでもある。そして被災地の農家のように応援する人は必ず現れる。その時まで学ぶ意欲を失いたくない。定時制の生徒にそのことを教えられる。