<金口木舌> パラリンピックの魅力


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 熱戦が続くソチパラリンピックも16日(日本時間17日)で幕を閉じる。メダル獲得数にも関心は高まるが、全ての競技、全ての選手にドラマがあり、最後まで注目したい

 ▼今大会にはブラジルが史上初めて参加した。ノルディックスキー距離男子15キロ座位にフェルナンド・ロチャ選手が出場した。国内では雪上練習ができないが「パラリンピックに出たい」一念で他国の合宿に参加し技を磨いた
 ▼「競技である以上、栄光をつかみたいが、目指すのはそれだけではないことを見せたかった」とロチャ選手。その姿勢は五輪精神そのものと言えよう。初参加を果たした努力に拍手を送りたい
 ▼日本勢は、選手だけでなく選手を支えるテクノロジーの分野でも活躍している。アルペンスキー男子座位で2個の金メダルを獲得した狩野亮選手が使用したチェアスキーは日本企業が製造。衝撃吸収など優れた性能は外国勢からの評価も高い。技術力もメダルに値する
 ▼県内からも大会に参加している人がいる。名護市役所に勤める比嘉優樹さんは、感動のドラマの一瞬一瞬をカメラに収める。「多くの人にパラリンピックの魅力を知ってほしい」との願いを込め選手たちを追う
 ▼大会の熱気や興奮は同時中継だけでなく写真からも伝わるものだ。比嘉さんの取り組みも大会を支えていると言えるだろう。勝っても負けても、選手たちの笑顔はまぶしい。