<金口木舌> 女性目線で防災対策を


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 ついたてがない避難所で着替えや授乳ができずに困った-。東日本大震災の被災地では、避難所でプライバシーが守られずに苦悩する女性が多かった

 ▼人の出入りが多い洗濯干し場では下着を干せず濡(ぬ)れたまましまい込む。「みんなでなしと決めた」との理由で、ついたてを使わず重ね置きする避難所もある。“少数派”の意見はかき消されたという
 ▼災害支援の国際基準に国際赤十字などが定めた「スフィア基準」がある。そこでは、トイレは「男女別とし、男女用トイレの比率は1:3とする」「女性と少女の恐怖を軽減する場所に設置する」と示している。災害支援の多様性への配慮をうかがわせる
 ▼沖縄をみると、災害発生時に高齢者や障がい者の避難を手助けする全体計画の策定が遅れている。策定したのは24市町村で策定率は全国最下位。災害が起きた時、もっとも避難が困難な人たちの計画こそ急ぐべきだ
 ▼女性、子ども、高齢者、障がい者を意識した視点が復興へ向けた街づくり、防災計画に欠かせない。ジャーナリストで「東日本大震災女性支援ネットワーク」共同代表の竹信三恵子さんは「女性の声が通りにくい構造では、子どもや高齢者のための環境改善を望む声も通りにくく、対応の遅れを招く」と指摘する
 ▼子育て、介護を担うことが多い女性たちの声を、もっと自治体の防災計画に反映させたい。