<金口木舌>子の将来に幸あれ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 卒業や進学、進級と子どもたちはこの春、また一つ階段を上る。部活動や習い事など新しい挑戦を始める子も多い。成長はうれしいが、親にとっては悩ましい季節でもある

▼放課後、子が望む居場所をどうつくるか。特別な活動は経済的負担もあるが、共働き世帯にとっては送迎一つも難題だ。友人の環境をうらやむ子の何げない一言で、複雑な心境になることもある
▼全ての子の成長や発達を守ろうと「子どもの権利条約」が国連で採択されたのが1989年。それから四半世紀。今年は日本政府が条約を批准して20年の節目でもある
▼条約は(1)差別のない処遇(2)子どもの最善の利益(3)生命・生存・発達の権利(4)意見の尊重-の四つが柱だ。保護者の意識はもとより、地域や県、国の役割も大きい
▼昨年問題化した米軍機による認可外保育園の騒音被害。防音対策工事に向けた国の補助金の対象が次年度から拡充されるが、条約の理念に照らせば当然だ。むしろ対象が一部にとどまる点は改善が求められる
▼子の権利に関して、明るい話題もあった。高校進学で親元を離れる3離島の子を県内3企業と京都大が連携支援する試みがあり(18日付)、馬天小には島尻特別支援学校に通う知的障がい児のための分教室が設置される(21日付)。子の将来に幸あれと願うのはいずこも同じ。階段を上がり、笑顔の春を迎えたい。