<金口木舌> 企業と社会を変える人財づくり


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 経営者の多くが口にする「人財」。人を組織の要と位置付け、人づくりの大切さを表す言葉である。企業の経営方針や各種セミナーのテーマなどを見ても、近年、使用頻度が増えたように思う

 ▼「自己増殖力」。県内流通最大手のトップは、社員の成長をこう表す。考えて行動する力を多くの社員に身に付けてほしいとの思いで、新年度から人材育成の専門部署を発足させた
 ▼この企業は近年、90人ほどの新卒者を毎年採用し経営理念の「人材こそ宝」を実証してきた。採用の増減などできるだけムラを抑え、事業の確かな継承を図る意味もある。新年度も安定採用は続くが、一方で雇用の捉え方を変えた
 ▼新しい見方は「どれだけ長く勤めてもらえるか」だ。社歴とともに向上したスキルを生かす環境づくり、従業員の働きがいを最重要視する。その結果、人材育成に特化した部署が生まれたのだという
 ▼労働環境対策として県も雇用の質の向上に、重きを置く。全国一高い離職率の改善などを掲げ昨年創設した人材育成企業認証制度がそう。人材育成の促進へ全国の自治体で初の取り組みだ
 ▼第1回認証は3社で、つい先日表彰式があった。行政関係者から「社会を変える力を持つ」と期待される人材育成。企業や地域の成長にもつながる人づくりに各社の工夫が求められる。きょう、多くの人財の卵が新社会人となる。