<金口木舌>若い感性で「テンアゲ」


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 最近、若い人の会話で「話を盛る」という表現を耳にする。「誇張する」という意味だ。初めは面食らったものの、言い得て妙だ。新鮮な感覚の造語だが、「テンアゲ」(テンションが上がった状態)、「おつぽよ」(お疲れさま)となると付いていけない

▼福井県鯖江市が若者用語を取り入れた「JK課」を設置した(15日付30面)。JK、つまり女子高生がメンバーの町づくりチームだ
▼名前だけで奇をてらったのではない。鯖江市は7年前から若い感性を行政に活用している。全国の意欲ある大学生を地元の寺に集め、3日間の合宿で地域おこしの具体案を出してもらう。実際に市の政策にも反映させる
▼鯖江は眼鏡フレーム生産で世界の2割を占める街。3年前には学生提案を基に眼鏡を2011メートルつなげてギネス記録を達成した。高い技術を生かし、宇宙飛行士の眼鏡シェア100%に挑む構想もある。「JK課」も高校生の知恵をイベントや商品開発につなげていく
▼沖縄の高校生も負けてはいない。北部農林高のアグー脂を使った高級ちんすこうや、中部農林高のオクラ麺、八重山商工高のユーグレナ菓子など、近年、企業と連携した特産品開発が盛んだ
▼何にも縛られず柔軟な発想ができる若い世代のアイデアと情熱は心強い。地元を見つめ直すことで郷土愛も深まるはずだ。若い人が元気だと地域も「テンアゲ」になる。