<金口木舌>闘病を支える患者会


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 「人生には三つの坂がある。上り坂、下り坂、そしてまさか」。漫談や披露宴などでおなじみの名言だ。突然の病や不慮の事故に襲われる「まさか」の出来事が、人生にはこんなに多いものかと年を重ねるほどに痛感する

▼患者会や障がい関係団体の当事者が、闘病体験をつづる連載「心の扉を開いたら」(土曜日ひと暮らし面)を2年間担当した。思いがけない出来事に「まさか自分が」とぼうぜんとし、もがく姿に胸が締め付けられる
▼その一方、治療に専念したり、仲間の悩みを聴き、支えたりする立場に回るなど心の持ち方を変えていく人もいる。共通するのは患者会との出会いが転機になっていることだ
▼患者会の中には、死別の悲しみを癒やすグリーフケアのほか、当事者ならではの相談機能を発揮する会もあり、医療ではカバーできない部分を担っている。最近は、病院が患者会結成を促す動きも出ている
▼県内の難病関係の患者会は10数年で2団体から12団体に増えた。県がん患者会連合会も昨年、12団体でつくる一般社団法人になり、患者会活動は活発になっている
▼「重い苦しみ、悲しみに寄り添うのが患者会」と難病患者を支援する「アンビシャス」副理事長の照喜名通さんは語る。心のケア、福祉サービスに対する情報交換が会員の精神的な支えになっている。患者会の分かち合いの精神に学びたい。