<金口木舌>観光の飛躍と「平和」の大切さ


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 大型連休が始まり、県内の行楽地や観光地は「わ」ナンバーの車両が目に付く。2013年度の入域観光客数は658万人と過去最高を更新した。レンタカーの多さに観光の好調ぶりを実感する

▼しかし単純に喜べないのがホテル業界で、客室単価の低迷が経営者の頭を悩ませる。そもそもの発端は2001年9月11日の米中枢同時テロ直後の風評被害だ
▼修学旅行のキャンセルが相次ぎ、ホテルの稼働率は急落。苦肉の策として格安の特別料金を提案したが、今でも完全には回復できず、「テロ」の影響は観光業界に横たわり続ける
▼観光は“平和へのパスポート”とも言われる。うるま市で平和ガイドを務める70代の一人の男性はその思いを伝えるべく、新基地建設が計画される名護市辺野古へ修学旅行生らを案内する
▼興味深いのは、フェンスの向こうのキャンプ・シュワブを説明するのでなく、漁港近くの海を見せることだ。「まず足を入れてごらん」と促し、きれいだとはしゃぐ生徒らに、豊かな自然が沖縄の暮らしを支えていると説明する
▼生徒にとって自然や観光の視点から平和を考えるのは新鮮なようだ。その後の沖縄の基地についての学習でも熱心に聞き入る。新空路の展開も進み、沖縄観光は一層の飛躍が期待される。好調な時だからこそ、その「心臓部」ともなる平和の重要性を考えたい。