<金口木舌>パークアベニューの29年


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 沖縄市長選の翌朝、自転車で中央パークアベニューを駆けた。通り沿いの店は開店準備のさなか。老舗の刺しゅう店の店員がほうきで路面を掃き清める。4月28日、いつもと変わらぬ風景である

▼一年前、東京では講和条約発効による「主権回復」を祝う式典があった。分断された沖縄では「がってぃんならん」と抗議の集会を開いた。この商店街も「ヨン・ニイハチ」を特別な日として記憶している
▼1985年のこの日、基地の街の申し子と呼べるビジネスセンター通りは中央パークアベニューへ生まれ変わった。真白なドーム型アーケードがまぶしい「買い物公園」に街は命運を懸けた
▼基地経済脱却を掲げた歩みは険しかった。生まれた日が悪かったか、幾度も米軍のオフリミッツと円高に泣かされた。近隣の商業地との競合にもさらされている。空き店舗を抱え、奮闘は続く
▼通りを舞台に、3カ月に1度の音楽イベント「かなでるパーク」を手掛ける真栄田義人さんは「古い考えから脱し、世間のニーズに合わせる柔軟さが商店街には必要だ」と説く。浮揚策を練る34歳。偶然にも4月28日生まれという
▼中央パークアベニューの29年に、まちづくりの苦楽が刻まれている。これからの歩みも平穏とはいくまい。その道程で新市長が唱える「沖縄市復活」の真価が問われよう。もうすぐ出発ですぞ、桑江さん。