<金口木舌> サッカー界とバナナ


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 サッカーのスター選手がバナナを手にした写真を次々と公開している。発端は27日のスペイン1部リーグ、ブラジル代表でバルセロナ所属のアウベス選手がコーナーキックをしようとした時、観客からバナナが投げ込まれたこと

 ▼スポーツの世界では黒人選手を揶揄(やゆ)して、サルの好物であるバナナを差し出したり、サルのまねをしたりすることがある。6月にもロシアリーグで元ブラジル代表のカルロス選手が観客からバナナを投げられたことに抗議し、試合終了前に競技場を去った
 ▼しかしアウベス選手は粋だった。バナナを拾って一口食べ、何事もなかったかのようにプレーを続けた。この行動が人種差別反対のメッセージとなった
 ▼イタリア代表のパロッテリ選手は写真と共に「俺たちは皆サル。人種差別反対」と記した。インテルの長友佑都選手らもバナナを手に写真に納まった
 ▼日本のサッカー界でも人種差別行動が表面化したばかりだ。J1浦和のサポーターが外国人排斥とみなされる「JAPANESE ONLY」の横断幕を掲げた。浦和は気づきながら撤去を命じなかった
 ▼米国でも人種差別発言をしたNBAオーナーが永久追放されたばかり。世界のスポーツ界が人種差別に敏感になっていることに学ぶべきだ。東京五輪を前に私たちは、人種差別に対する世界の厳しい視線をもっと意識しなければならない。