<金口木舌> ハーリーに学ぶ協働


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 新しい職場での仕事も落ち着き、何かと気ぜわしかった4月も終わった。日差しが強くなってきた5月、いよいよハーリーの季節がやってきた

 ▼新暦で行う那覇ハーリーは、今まさに熱戦を展開中。中学生や職域など多くのチームが参加して腕を競う。子どもや同僚、友人の奮闘する姿に応援にも自然と熱が入る
 ▼各地で行われるハーリーは旧暦5月4日、ことしは6月1日を中心に7月まで続く。昨年の紙面を見ると、県内の35カ所で開催されていた。紙面で紹介されない小規模のものを加え、海のない南風原町を除けばほぼ全市町村で開かれているのではないか
 ▼ハーリー行事で願うのは、大漁や安全など海に生きる人々の無事と幸せだ。加えて、近年は各地で職域、学生など御願以外にも融和や連帯など地域共同体の絆を確かめる機会として位置付けられている
 ▼かつて職域ハーリーに参加したことがある。力任せにこぐだけでは思うように進まない。前後左右、全員が呼吸を合わせてかいを操ると楽に速く進む。協働の大切さを実感した
 ▼人々はハーリーに限らず、暮らしのさまざまな場面で結束を求められることがある。最近なら新基地建設問題や憲法改正か。主役たる住民の呼吸がばらばらでは、望む方向とは違う所へ進み、時に船は迷走する。ウチナーンチュの心意気を示すハーリーにもう一度学びたい。