<金口木舌>暮らしから憲法を見る


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 日本国憲法の意義を分かりやすく伝えてみようという試みが、静かに広がっている。最近話題を呼んだのは、女性ファッション誌「VERY」(光文社)3月号が企画した憲法座談会だ

 ▼座談会のテーマは「お母さんこそ、改憲の前に知憲! 今、改憲が実現したら、将来、戦地に行くのは誰?」。子育てで忙しい母親世代にも、憲法を知ってもらおうと企画された
 ▼「憲法って難しい」との声をよく聞く。しかし、終戦から2年後の1947年、当時の文部省が中学生向けにつくった社会科教科書「あたらしい憲法のはなし」を読み進めると、憲法が身近に感じられる
 ▼例えば、基本的人権の項では「男が女よりもすぐれ、女が男よりもおとっているということもありません。差別のないことを『平等』といいます」と記述した。平易な表現でつづった憲法のはなしは、生きていく上で大切なことが盛り込まれている
 ▼ところが最近、憲法を“腫れ物”扱いする動きも見られる。自治体が、護憲団体が主催する憲法講演会の後援を「政治的中立性を損なう恐れがある」と相次いで拒んでいる問題だ。それはちょっとおかしくないか。憲法は、全ての公務員に憲法尊重擁護の義務を課しているのだから
 ▼憲法を政治問題だけで語るのももったいない。憲法を「生活問題」と捉え、もっと身近な所から生かしていけないものか。