<金口木舌>学校跡地利用で地域再生を


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 還暦記念で大宜味村内の母校に贈った8メートルのこいのぼりが大空を泳ぐ。子どもらの喜ぶ姿に、卒業生らが目を細める。昔に比べ、子どもはだいぶ少ないが「学校を地域のみんなで支えている」ことを実感する

 ▼都市と農村で共に児童減少が進む。人口のドーナツ化が進む那覇市の市街地では学級の適正規模を確保できず、学校統合に至る例が出てきている。本島北部では過疎化による児童減少が深刻化している
 ▼一方で人口減少に抗(あらが)う動きも見られる。閉校した学校の跡地に新風が吹き込まれた。名護市東海岸の三原小跡地が新年度から通信制高校の学びやとなった。恵まれた自然環境が関係者の目に止まったという
 ▼開校式には住民ら200人余が参加した。5年ぶりの“学校復活”に地域は沸いた。「地域と学校がまた積極的に交流し共に発展したい」。区長は、地域活性化の起爆剤として学校に期待している
 ▼今帰仁村は民間の力を活用し、廃校跡を「農業と食育」の発信拠点とする。地産地消を進めるレストランや工房、体験学習室などを整備し、村外からの誘客を狙う。国頭村は地域の要望を踏まえ、廃校にした小学校分校を福祉施設に改修する
 ▼過疎化の歯止め、子育て世代が定住可能な機能を備えた地域としての再生-恐らくそれが学校跡地利用の究極の目標だろう。地域再生の成果に期待したい。