<金口木舌>働くお母さんにエール


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 ことしはタレントに交じって、コンサルティング業のワークライフバランス社長を務める小室淑恵さんが受賞した。毎年母の日を前にNPO法人が発表するベストマザー賞のことだ

▼同社は残業ゼロルールを設けるなど、働き方そのものを見直し、仕事と子育てを両立する仕組みを整えた。出産してからの職場復帰は当たり前、既婚社員は2児、3児の母が多いという
▼ネット投票などで決まるベストマザー賞は、これまで歌手や女優28人が選ばれた。経済部門は今回を含め2人だけ。今回小室さんが選ばれたのは人気投票でなく、働く女性の共感があったのではないだろうか
▼とはいうものの、現実には仕事と子育ての両立どころか、結婚できない、しないという層が増えている。沖縄と東京以外の地域は子どもが減少の一途をたどり、過疎地は人の流出が止まらない
▼役所が主導する「官製婚活」や育児支援、さらには国の少子化対策交付金投入などもある。だが少子化が課題となって20年、効果はほとんど挙がっていない
▼小室さんはこう主張してもいる。「1日8時間の労働で成果を出す人が評価されれば、親の介護をする人も引け目を感じずに活躍でき、男女の介護離職を防げる」。仕事と子育て、あるいは介護、二者択一を迫る時代は終わりだ。働くお母さんがどちらも満足できる環境を共につくりたい。