<金口木舌>介護離職を防げ


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 仕事と育児の両立を目指して「育児・介護休業法」が施行されて約20年になる。この間、県内女性の育児休業の取得率は92%に広がり、全国平均より高い。今や働く人たちにとって欠かせない制度となった

▼これに対し介護休業の取得は遅々として進まない。2013年度に県内で介護休業給付金を受給した人は203人だった。長寿社会の沖縄にしては意外と少ない気がする
▼職場や知人を見渡して育児休業取得の広がりは実感できる。しかし「介護休業を取ったんだけど…」との声はあまり聞かない
▼取得が進まない理由の一つに日数の短さがある。介護休業は1家族1人につき、通算93日しかない。先が見えない介護に対して3カ月の期限は不十分だと思う。休みを取る年代は働き盛りの40~50代だ。「休む」と言い出しにくい地位にあるのかもしれない
▼数年前にあちこちの介護の現場を取材した時、仕事を辞めて介護に専念している人たちに出会った。職場に気兼ねするよりも仕事を辞める「介護離職」を目の当たりにした。2007年から6年間、家族の介護や看護を理由に離職した人は43万人にも上る
▼「介護離職」の拡大、団塊世代の大量介護時代の到来を背景に、政府もようやく動きだす。企業に支援制度導入を促すべく実証実験を始める。仕事と介護の両立の仕組みづくりで関係機関の本気度も試される。